資産運用

【元銀行員解説】銀行員は投資信託禁止?それとも取引できる?


こんにちは。元銀行員のヒイラギです。

 

近年は以前に増して資産運用が流行っていますが、金融機関に勤めていると

投資はどの程度まで許されるのかな?

と心配になることがありますよね。

 

万一インサイダー取引に該当してしまったら怖いので、投資を始める際はあらかじめ安全な取引かどうか確認したいはず。

 

そこで本記事では、

銀行員は投資信託が禁止されているのか?それとも取引できるのか?

について詳しく解説します。

 

結論から言うと、銀行員でも投資信託はできます!

ただし各銀行の規則を確認したほうが安全です。

 

私も実際に銀行員時代から投資信託を保有しています。

 

なお本記事は2021年5月時点の情報です。常に最新の情報を記載することを心がけますが、今後法改正により実際の情報とは異なってくる可能性もあり得ます。心配な人はお勤めの金融機関にルールを確認するのが安全です。




銀行員は投資信託の保有が禁止されておらず、取引できる

先ほど書いた通りですが、銀行員でも投資信託の取引はできるのです。

ただし銀行により規則が異なる可能性があるため確認したほうが安全です。

 

なお私が働いていた銀行Sでは投資信託は禁止されていませんでした。

届け出も特にしませんでしたし、勤務期間中何か言われることも一切ありませんでした。

 

ちなみに私の妹も2021年現在別の銀行Sに勤めているのですが、投資信託を保有しているそうです。

 

友人(M銀行勤務)も投信やってるよ~と言っていましたね。

 

よく考えれば、銀行員でもiDeco(イデコ)、すなわち確定拠出年金が利用できますよね。

 

確定拠出年金では投資信託にも投資できますので、新入社員として入社した時に設定している場合、意識していないうちに投資信託を持っていた、なんてこともあるかもしれません。




銀行員の投機的な取引って?投資信託は大丈夫なの?

 

ひとつ注意したいのが、投資信託と言えど銀行員の場合投機的な取引になるとNGと決められていることが多い点です。

 

投機的な取引とは、利益を得るために売買を行うことです。

 

しかし、ここで疑問が起こります。

 

投資や資産運用も結局は利益を得るために行うものですよね。投資と投機の線引きはどうなるの?

 

そもそも、銀行員が投機的な取引をしてはいけないという話の発端は日本証券業協会の定款です。

 

定款では厳密に言うと「日証協の特別会員である金融機関(=たいていの銀行)で登録金融機関業務(有価証券の売買、取次ぎ、販売などの証券業務等)をする人」が制限の対象となっています。

 

ただし登録金融機関業務に関わっていなくても行員の投資信託等の取引を一律NGとしている場合もありえるので、会社に確認したほうが安心です。

 

銀行員の知人や家族の話を聞く限り、投資信託の保有が完全に禁止されている銀行は少ないと思います。

 

念のため、いくつかの証券会社や銀行の投資信託に対する姿勢をチェックしてみましょう。

マネックス証券とSBI証券の例

まずは証券会社の見解を紹介します。

 

マネックス証券のサイトでは、銀行等の金融機関に勤める人が可能な取引は下記であると記載しています。

マネックスとしては投資信託の取引はOKなようです。(現物株がOKなのは意外です・・・)

ただ、投資ではなく投機的な取引と見なされるとダメなようです。

可能な取引は以下のとおりです。

・証券総合口座およびNISA口座での株式の現物取引、投資信託(外貨建てMMF、ETN、ETF、REITを含む)、債券の取引

(中略)

但し上記の取引であっても、短期の売買を頻繁に繰り返しているなど、売買の態様によっては、「専ら投機的利益の追求を目的とした取引」と判断し、取引を制限させていただく場合がございますのでご了承ください。

マネックス証券WEBサイトより引用

 

次にSBI証券の見解です。こちらも投資信託の保有がNGとの記載はなしです。

日本証券業協会に加入している登録金融機関(銀行・保険会社等)にご勤務され、登録金融機関業務に従事されているお客様につきましては、下記(1)~(5)のお取引を制限させていただきます。

(中略)

(1)株式信用取引
(2)先物・オプション取引
(3)CFD(くりっく株365)取引
(4)eワラント取引
(5)外国為替保証金取引(FX)

SBI証券WEBサイトより引用




日本銀行の例

残念ながら、民間の大手銀行についてはWeb上に公開されている規則が見つからなかったのですが…

日本銀行なら公開されているものがありましたので、日本銀行職員の金融取引に関する規則も確認してみました。

 

管理職は(中略)次に掲げる行為(他人の名義によるものを含む。以下「短期売買等」という。)を自粛するものとする。

(イ)有価証券等の取得の後6か月以内における当該有価証券等と同銘柄の有価証券等の処分または有価証券等の処分の後6か月以内における当該有価証券等と同銘柄の有価証券等の取得

日本銀行WEBサイトより引用

 

こちらでは「有価証券」とあるので投資信託も短期売買してはいけないものとして含まれますね。

 

また日本銀行としては6ヶ月以内の売買を「短期売買」とみなし自粛を求めている点で参考になると思い引用してみました。

 

ということは日本銀行では7ヶ月以上の長期保有を目的としているなら、現物株や投資信託・ETFの取引も問題ないとも読めます。

 

銀行員の投資信託の保有は証券会社としてはOKでも、銀行としてNGとしているケースもあります。取引前に勤め先で就業規則を確認するようにしましょう!

 



銀行員の株取引は禁止されている?

 

「投資信託の取引は投機的取引でなければ禁止されていないことが多い」

ということがわかりました。

 

しかし、株取引についての規制や制限は知っていますか?

 

残念ながら行員の現物株の取引は禁止している銀行は非常に多いです。

 

私が勤めていた会社も、妹が勤めていた会社も現物株については取引NGでした。

先ほどの証券会社の見解を見ると、インサイダー取引に該当しなければ株取引も禁止していないところもありましたが、銀行側とは見解が異なるので注意が必要ですね。

 

確かに、業務でいつ突然上場している会社と関わるかなんて予測不可能ですよね。

 

そうであれば、銀行が行員の株取引を一律で禁止したくなる理由もわかります。

結論として、銀行員も投資信託の取引は可能です。

しかし金融機関によっては独自のルールを定めて行員の取引を制限している可能性があるため、自分の銀行はどうなのか?と確認するのが安全でしょう。

 

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