「ETF 銀行員」のキーワードで記事を見に来て下さる方が多いので、「銀行員はETFを購入しても良いのか?」についても追加で詳しく解説します!
これについては結論から言うと
投機的な取引と見なされなければ証券会社としてはOKしているところが多い。
ただし就業規則を確認したほうが安心。
となります!!
最近は新型コロナウイルスによる経済ショック対策として日銀がETF(上場投資信託)の年間買い入れ上限を6兆円から12兆円に増やしたことが話題になりましたね。
さて、このようにETFという言葉をよく耳にしますが、
ETFとは何なのでしょう?
普通の投資信託とは違うのでしょうか?
銀行員はETF(上場投資信託)を購入しても問題ないのでしょうか?
今回は資産運用初心者向けに元銀行員の私が
ETF(上場投資信託)と普通の投資信託の違い
を解説したいと思います。
- 【元銀行員解説】ETFとは何か?
- 銀行員はETFを購入しても問題ないか?
- おわりに
【元銀行員解説】ETFとは何か?
ETF(上場投資信託, Exchange Traded Fund)とは、日経平均株価やTOPIX、ダウ平均株価などの経済指標に連動して価格が変動する投資信託のことです。
たとえば日経225に選出されている会社225社の株価が総じて上がれば、日経平均株価も上がります。よって、日経平均株価が上がれば、それを指数としているETFの価格も上昇します。
1つのETFを保有するだけで色々な会社に投資できることになるので、個別の会社の業績をいちいち考えて投資するのは難しい!という人にはおすすめです。
このあたりは通常の投資信託と同様ですね。
それでは、ETFと通常の投資信託の違いは一体何なのでしょうか?
答えは、取引所に上場しているかしていないかの違いです。
以下、詳しく解説します。
基準価額の更新時期の違い
ETFと投資信託は価格の更新時期が異なります。
ETFはその日の取引時間内(朝9時~午後3時)には、投資家の需給により絶えず価格が変動しています。どちらかというと株に性質が似ていますね。
一方で投資信託は、その日の取引時間が終わって初めて基準価額が決定します。日中の価格変動は無く、価格は取引時間終了後に1日1回だけ変わります。
注文方法の違い
ETFは取引時間内ならいつでもその時の価格で購入できますが、投資信託はその日の取引が終わった後に決定する基準価額で購入することになります。
例えばETFなら「価格が1500円になったら100口買いたい」というような指値注文を出すことができますが、投資信託はそれができません。
投資信託は「この商品を10000円分ください(金額買付)」もしくは「この商品を100口ください(口数買付)」という注文方法になります。
手数料の違い
一般にETFの方が購入や商品保有にかかわる手数料が安いです。(証券会社によっては無料のことも)
例えば購入手数料が安ければ、短期間で頻繁に売買したい時に若干有利ですよね。
投資信託を長期保有したい場合には信託報酬もよく考慮したほうが良いですし、結局のところ自分がどのような売買スタイルで投資していくつもりなのか(短期か中長期か?等)が重要だと思います。
銀行員はETFを購入しても問題ないか?
銀行員はETFを購入しても問題ないか?
という問題についてですが、
投機的な取引とみなされなければ、銀行員によるETF(上場投資信託)の購入を禁止していない証券会社が多いです。
ただし各銀行の就業規則によりETFの取引自体NGとしている可能性もあるので、会社に確認したほうが安全です。
なお銀行員が投機的な取引をしてはいけないという話の発端は日本証券業協会の定款です。
定款では厳密に言うと「日証協の特別会員である金融機関(=たいていの銀行)で登録金融機関業務(有価証券の売買、取次ぎ、販売などの証券業務等)をする人」が制限の対象となっています。
ただし登録金融機関業務に関わっていなくても行員のETF等の取引を一律NGとしている場合もありえるので、会社に確認したほうが安心です。
マネックス証券とSBI証券の例
まずは証券会社の見解を紹介します。
マネックス証券のサイトでは、銀行等の金融機関に勤める人が可能な取引は下記であると記載しています。
マネックスとしてはETFの取引はOKなようです。(現物株がOKなのは意外です・・・)
ただ、投資ではなく投機的な取引と見なされるとダメなようです。
可能な取引は以下のとおりです。
・証券総合口座およびNISA口座での株式の現物取引、投資信託(外貨建てMMF、ETN、ETF、REITを含む)、債券の取引
(中略)
但し上記の取引であっても、短期の売買を頻繁に繰り返しているなど、売買の態様によっては、「専ら投機的利益の追求を目的とした取引」と判断し、取引を制限させていただく場合がございますのでご了承ください。
マネックス証券WEBサイトより引用
次にSBI証券の見解です。こちらも現物株とETFがNGとの記載はなしです。
日本証券業協会に加入している登録金融機関(銀行・保険会社等)にご勤務され、登録金融機関業務に従事されているお客様につきましては、下記(1)~(5)のお取引を制限させていただきます。
(中略)
(1)株式信用取引
(2)先物・オプション取引
(3)CFD(くりっく株365)取引
(4)eワラント取引
(5)外国為替保証金取引(FX)
SBI証券WEBサイトより引用
日本銀行の例
日本銀行の職員の金融取引に関する規則も確認してみました。
管理職は(中略)次に掲げる行為(他人の名義によるものを含む。以下「短期売買等」という。)を自粛するものとする。
(イ)有価証券等の取得の後6か月以内における当該有価証券等と同銘柄の有価証券等の処分または有価証券等の処分の後6か月以内における当該有価証券等と同銘柄の有価証券等の取得
日本銀行WEBサイトより引用
こちらでは「有価証券」とあるので現物株や投資信託・ETFも短期売買してはいけないものとして含まれますね。
また日本銀行としては6ヶ月以内の売買を「短期売買」とみなし自粛を求めている点で参考になると思い引用してみました。
ということは日本銀行では7ヶ月以上の長期保有を目的としているなら、現物株や投資信託・ETFの取引も問題ないとも読めます。
おわりに
ETFと投資信託の違いや、銀行員はETFの取引をしてもいいか?をざっくり説明してみました。
同じような経済指標をベースにしているETFと投資信託同士であればそんなに差はありませんが、少なくとも注文方法やいつの価格を基準にして約定することになるのかは微妙に異なってきます。
たとえばデイトレのように短期スパンで売り買いを何度もしたいのであればETFが良いでしょうし(ただしこれは投機的取引ですね)、長期でのんびり投資していくなら信託報酬を見つつきちんとリターンが見込めて純資産額が着実に増えている投資信託を選ぶのが良いでしょう。
自分の投資スタイルによって購入商品を変えていけると良いですね。
それでは!